サイクリストが見た、世界の自転車まちづくり・地域づくり

韓国国土縦断自転車道路を走ってきた

2024年9月15日

 世界では今、多くの国で自転車が、暮らしやすく、活気のある街・地域づくりの手段として注目され、自転車道などの整備が進んでいます。
 私、藤本はこれまで海外約55ヵ国を自転車で走りました。最近は、自転車利用促進を積極的に進めている地域を訪れ、自転車を多くの人に使ってもらうためにどのような政策が行われているかを見てくるようにしています。
 これから、このブログで不定期に、私が世界各地で見てきた自転車を使ってもらうための環境整備について紹介していきます。
 日本でも、自転車が使いやすく、住みよい地域づくりが進むことを願って。
 まずは、今年の6月に走ってきたお隣の韓国からです。

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 韓国では、2010年に当時の大統領、李明博(イ・ミョンバク)が、グリーン成長の一環として自転車活用をめざし「国家自転車道路基本計画」を策定しました。韓国全土でおもに河川に沿って、総延長2,285kmの整備を計画、整備が開始されましたが、2014年にはその利用率の低さや造成過程での不正行為、安全問題などが指摘され、後任の朴槿恵(パク・クネ)大統領によって大幅に予算が縮小され、計画を終えました。とはいえ、全国で総延長1,742kmが整備され、仁川(インチョン)ー釜山(プサン)間の韓国国土縦断自転車道路は、今では人気のサイクリングルートとなっていると聞き実際に走ってきました。


韓国の自転車道
Kojects Long-Distance Cycling」の図に日本語は筆者追加

 韓国国土縦断自転車道路は、韓国水資源公団(K-water)が主体となって整備しています。まずは、仁川空港に渡る橋の近くにある青羅西閘門(Ara West Sea Lock)にある自転車道認定センターでサイクリングパスポートを購入します。パスポートは3000ウォン(約330円)。このパスポートに自転車道の途中にある認定センターでスタンプを押していくと、認定証と有料にはなりますが認定メダルがもらえます。この認定システムについては、次回以降に詳しく書きます。


青羅西閘門にある韓国水資源公団の施設。この中に認定センターがあります


サイクリングパスポート(英語版)


青羅西閘門近くにあるスタート地点のゲート。ここから釜山まで633km、自転車道の支線も含めると702km

 青羅西閘門から青羅運河沿いに走り、漢江に合流してソウルに向かいます。ここからソウルまで約50kmの自転車道は特に素晴らしいです。歩行者とも分離された広い専用道路が続きます。


青羅運河沿いの自転車専用道路

 ここを走った日はたまたま韓国の祝日だったため、非常に多くのサイクリストが走っていました。ときには自転車が多すぎて危険を感じることも。


チームで走っている人達も 韓国ではマウンテンバイクの割合が高い


途中の自転車店も大盛況


分岐点には自転車用のロータリーもある


自転車の速度表示器も。スピードによって数字の色が緑、黄、制限速度の20km/hを越えると赤になる


片側2車線のところも


きれいなトイレもあちらこちらに整備されている


レンタサイクル店も数多くある マウンテンバイク、ママチャリ、電動アシスト等いろいろ揃っています


タンデムのレンタサイクルで走る人も


自転車道沿いにコンビニがいくつもある! 車は入って来れないのに自転車の人相手に商売が成り立つということ


漢江を渡る橋にも自転車道が

ソウルから先は、次回以降に紹介します。

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