サイクリストが見た、世界の自転車まちづくり・地域づくり

車中心ながら、それでも徐々に変わりつつある韓国

2024年10月15日

 私は、1995年にも釜山からソウルまで自転車で走ったことがあります。その時の感想は、「韓国は世界でダントツに自転車が走りにくい国だ」ということでした。車が日本並みに多く、そしてスピードが速く、運転が非常に荒く、とにかく危なかったのです。途中、自転車に乗った子どもがクルマに追突される所を見て、「明日は我が身か」と思ったものです。幸い、クルマはほとんど止まりかけていたので、子どもにほとんどケガはなかったようです。
 ソウル市内を自転車で走るのは命がけでした。信号のある交差点が少なく、クルマが次々と曲がっていくので、自転車はいつまで経っても渡れず、全く行きたい所に行けませんでした。道の端を走っていると、タクシーが客を捕まえるためにいきなり端に寄ってきて自転車を追い抜き、前で急ブレーキをかける、ということもしょっちゅうです。そんな状況ですから、自転車はほとんど使われていませんでした。

 今回、約20年ぶりに韓国に行くと、クルマのマナーは格段に良くなっていました。それでも、日本よりやや悪いくらいです。横断歩道で人が待っていてもクルマは止まりません。交差点で人が横断しようとしていても、右左折車は歩行者を無視して曲がっていきます。
 自転車も、サイクリングロード以外では少ないです。生活の上で自転車はまだまだ使われていません。そんな中、今回私が行った街で比較的自転車が使われていたのが、仁川です。ただし、日本同様自転車通行帯が歩道に作られ、自転車はほとんど歩道を走っています。人も自転車も通行帯の区分をほとんど気にしていません。これも日本と同様です。
 自転車は、マウンテンバイクが多く、ママチャリは少ないです。多くの人がマウンテンバイクで歩道をゆっくり走っています。

なぜか、自転車通行帯が歩行者より外側に。仁川にて

交差点でも自転車が歩行者より外側で渡るように表示されている

地下鉄駅前の駐輪ラック

誰も自転車通行帯を気にしていない。ソウル中心部にて

 そんな中、車中心社会が徐々に変わりつつあるのも感じます。
 ソウルの官公庁街、汝矣島(ヨイド)では、立派な自転車レーンや自転車道もありました。

汝矣島の自転車レーン。ただし、バスが停まっていた

汝矣島にあった、柵で区切られた自転車道。走りやすいが自転車は全く走っていなかった

 ソウル中心部の清渓川(チョンゲチョン)は、川の上を通っていた高速道路を撤去した例としてよく知られています。河川敷は、公園のように整備されていました。

高速道路を撤去した清渓川

かつての高速道路の橋脚が、一部モニュメントとして残されている

清渓川沿いの道の自転車通行帯

 ソウル駅前の高架道路だったところが、歩行者用の道になっているところもありました。
 韓国も車中心社会から少しずつ変わりつつあるようです。

ソウル駅前の道路を横断する高架橋が歩行者用に。写真左中央あたりに写っている古い赤レンガの建物がソウル駅の旧駅舎

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