自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❶日本の自転車は「ガラパゴス」状態

2023年2月10日

自転車は世界で注目を浴びる交通手段

 はじめまして。自転車が大好きで、その良さを広める活動をしている藤本芳一と申します。
 私が自転車の魅力に取り憑かれたのは30年ほど前のこと。初めての長距離サイクリングで、美しい自然と人々との出会いに感激したことがきっかけです。以来、47全ての都道府県、海外50ヵ国へ。今では、サイクリングの推進、自転車マップづくりを仕事にしています。今年5月からは、フランス、スペイン、ドイツなどを走っています。
 今、自転車は環境、健康、観光にいい交通手段として注目を浴びています。今回の連載では、自転車先進国と言われるヨーロッパ各国の自転車事情をお伝えし、自転車の良さ、可能性を知っていただければと思います。

ヨーロッパでは…

 ヨーロッパでは、日本では見かけないような自転車によく出会います。ドイツなどでは2人乗りタンデム自転車が普通に売られています。車イスと一体になった自転車もありました。
 日本と大きく違うのが、「子ども乗せ自転車」です。ドイツなどヨーロッパでは、写真のような自転車が一般的で、電動アシスト付きもあります。日本のものよりずっと安定していて安全で、荷物も載せられます。

ドイツミュンヘンで見かけた「子ども乗せ自転車」

どこへでも行けます

 日本で「自転車」というと、多くの方が1万円前後の「ママチャリ」をイメージされますが、近くのスーパーや駅までちょっと乗っていくだけの自転車は日本独特なのです。
 ドイツの自転車店に行くと、7万〜10数万円くらいが一般的な自転車で「トレッキングバイク」と呼ばれます。日本で言う「クロスバイク」に荷台や泥除けを付けて実用的にしたもの。よい部品が使われ、質も高く、軽くてスピードが出ます。なので街中なら自転車でどこへでも行けます。
 ヨーロッパでは交通環境も違います。車は自転車に配慮してスピードを落としたり、間隔をあけます。交差点に自転車が進入するときは車が止まって待ちます。実際、自転車で走ると「交通手段として認められている」と感じます。なので上の写真のような自転車でも問題なく走れます。
 日本の自転車とその環境は、国際標準からかけ離れた「ガラパゴス」状態ではないでしょうか。

ドイツの一般的な自転車(CUBE Bikesサイトより)

「滋賀民報」2022年8月7日号より

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